暑い日はとくに冷たいものが欲しくなりますよね。冷房のよく効いた部屋に居たりなど身体を冷やすことが多く、お腹が冷えて痛んだりしませんか?
また、緊張する場面やいやなことがある前などでも痛くなりますよね。今回はそんな腹痛について書いていきたいと思います。
腹痛とは
西洋医学的腹痛
腹痛は病気になるとよくみられる症状でもあり、精神的な面でも起こりえます。精神的なものの理由として、交感神経が優位になることで胃酸の分泌が増えて胃への負担が大きくなることによる胃痛が考えられます。
その他の腹痛の原因疾患としては部位ごとに以下のようなものが挙げられます。(これが全てではありません。参考程度に留めておいてください。)
右季肋部痛 | 心窩部痛 | 左季肋部痛 |
---|---|---|
胆石症 胆嚢炎 胆膿瘍 急性肝炎 横隔膜下膿瘍 | 胃炎 胃・十二指腸潰瘍 急性膵炎 慢性膵炎 胃癌 膵癌 狭心症 心筋梗塞 | 脾彎曲症候群 脾膿瘍 |
右側腹部痛 | 臍(へそ)部痛 | 左側腹部痛 |
右尿路結石 右腎盂腎炎 上行結腸憩室炎 | 腸炎 急性虫垂炎初期 腸閉塞 腹部大動脈瘤破裂 | 左尿路結石 左腎盂腎炎 虚血性大腸炎 |
右下腹部痛 | 下腹部痛 | 左下腹部痛 |
急性虫垂炎 | 膀胱炎 子宮付属器炎 卵巣腫瘍軸捻転 子宮外妊娠破裂 | 便秘 S状結腸憩室炎 |
消化性潰瘍であれば空腹時に痛みが強くなったり、小腸の狭窄があれば食後20分程度で痛みが起こったりします。
東洋医学的腹痛
東洋医学的には心窩部周辺に起こる痛みを「胃脘痛」、臍周辺に起こる痛みを「臍腹痛」、下腹部に起こる痛みを「小腹痛」、脇腹に起こる痛みを「少腹痛」といいます。
1,胃脘痛
①寒邪犯胃の胃脘痛
外邪による侵襲を受けた場合や、冷たいものや生ものなどを過食した場合に起こります。主な症状は胃脘部の強い痛みでさすると不快感(拒按)があります。痛みは冷たい刺激で悪化し、温めると楽になります。口が渇くなどの症状はありませんが、温かい飲み物を好むようになります。
②食滞の胃脘痛
飲食の不摂生や暴飲暴食などにより、胃に食滞(食べ物が停滞すること)が生じることで起こります。暴飲暴食以外にも、脾胃の虚弱な人が消化の悪いものを食べた場合にも起こります。主な症状は胃脘部の張ったような痛み、拒按、厭食(食欲・摂食量低下)、曖気(げっぷ)、嘔吐(吐くと痛みが軽減)、呑酸(酸っぱいものがあがってくる)などがあります。
③肝胃不和の胃脘痛
情志の失調(精神的ストレス)により肝気が鬱結して胃に横逆する(肝気が胃を攻撃する)ことにより胃の機能が障害されて起こります。主な症状は胃脘部の張ったような痛みが起こって胸脇部に放散します。随伴症状として、胸脇部の苦しい感じ、食欲不振、呑酸、嘔吐、ため息、曖気などで、曖気によって症状が軽減します。
④脾胃虚寒の胃脘痛
脾気虚が進行した場合や、生ものや冷たいものの過食が脾胃の虚弱を引き起こします。主な症状は胃脘痛、喜温喜按(温めたり押さえたりすると楽になる)、冷え感、空腹によって悪化し食後に楽になるなどがあります。随伴症状として疲労倦怠、気力減退、寒がり、四肢の冷え、食欲不振などがあります。
⑤胃陰虚の胃脘痛
肝鬱化火や慢性病などのために胃の陰液が損傷されて滋潤を失い、胃の降濁作用が失調した場合に起こります。主な症状は灼熱感を伴う胃脘痛、口苦、口渇(多飲はなし)、空腹感はあるが食べないなどがあります。
2,臍腹痛
①寒凝の臍腹痛
臍の周囲に激しい痛みが突然に起こります。脾胃虚弱の人がお腹を冷やしたり、生ものや冷たいものを摂りすぎることによって発症します。食欲不振や泥状便が現れます。
②脾腎陽虚の臍腹痛
脾陽虚が持続することで腎陽虚を招き、腹部に虚寒が生じて臍腹痛を発症します。主な症状として痛みが慢性的に増減して、温めると楽になります。冷え性で疲労倦怠があり、泥状~水様便があります。
③食積の臍腹痛
暴飲暴食などの飲食の不摂生による臍周囲の腹痛で、曖気、悪心、食欲不振、未消化の下痢で大便に酸臭があります。
④湿熱の臍腹痛
湿熱によるもので、西洋医学的には大腸炎に相当します。主な症状は臍部の腹痛、痛みがあると下痢を催しますが渋り腹となります。大便は粘稠あるいは粘血便で悪臭があり、口渇、口苦などがあります。
⑤脾胃気滞の臍腹痛
脾胃の運化機能の低下により、昇降機能が失調して気滞が生じて、臍腹痛が起こります。従って、腸痛はガスの貯留で増悪し、放屁によって楽になります。情緒や感情の変動に伴って痛みも悪化します。
3,小腹痛
①膀胱湿熱の小腹痛
湿邪が膀胱を侵襲することによって生じる腹痛で、下腹部の膨満感や排尿時の灼熱痛、尿が濃く、時に血尿が出て量は少ないというのが特徴になります。
②下焦虚寒の小腹痛
下腹部の増減する痛み、四肢や腹部の冷え、冷えると痛みが強くなって温めると軽減します。
4,少腹痛
①肝気鬱結の少腹痛
肝鬱により疏泄機能が失調し、気滞が生じて起こります。主な症状は下腹部両側の張った痛み、痛みは陰部に放散し、胸苦しさ、ため息、イライラ、怒りっぽくなる、押さえると悪化するなどがあります。
対処法
基本的には内科で相談した方が良いケースの方が多いです。但し、内科で相談しても改善が見られない場合は鍼灸が効果的になります。
あまりセルフケア方法というのはありませんが、少しだけ紹介させていただきます。
胃脘痛に関しては梁丘(膝のお皿の上端から指3本上の外側辺りにあります)というツボを強めに押さえることが効果的になります。
臍腹痛の寒凝や脾腎陽虚の場合は臍と臍から指1.5本下の所をドライヤーなり蒸しタオルなどで温めると効果的になります。
脾胃気滞や湿熱による痛みに対しては合谷や曲池、太衝などを押さえると良いでしょう。
まとめ
基本的に腹痛は自分で何とかしようとせずに早めに医療機関に受診することが望ましいです。大きな病気が隠れている場合もありますからね。今回紹介したもの以外にも腹痛を起こすものはいっぱいあります。ただの腹痛と思っていると取り返しの付かなくなることもあるのでご注意ください。
東洋医学的なものの中に「あ、自分これ当てはまる!」といものがあれば鍼灸がよく効くこともあるので是非探して受けてみてください。
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