2024/08/19

その腹痛は大丈夫?放っておくと危険な腹痛とは!?セルフケア方法も紹介してます!

 暑い日はとくに冷たいものが欲しくなりますよね。冷房のよく効いた部屋に居たりなど身体を冷やすことが多く、お腹が冷えて痛んだりしませんか?

また、緊張する場面やいやなことがある前などでも痛くなりますよね。今回はそんな腹痛について書いていきたいと思います。

腹痛とは

西洋医学的腹痛

腹痛は病気になるとよくみられる症状でもあり、精神的な面でも起こりえます。精神的なものの理由として、交感神経が優位になることで胃酸の分泌が増えて胃への負担が大きくなることによる胃痛が考えられます。

その他の腹痛の原因疾患としては部位ごとに以下のようなものが挙げられます。(これが全てではありません。参考程度に留めておいてください。)

右季肋部痛心窩部痛左季肋部痛
胆石症

胆嚢炎

胆膿瘍

急性肝炎

横隔膜下膿瘍
胃炎

胃・十二指腸潰瘍

急性膵炎

慢性膵炎

胃癌

膵癌

狭心症

心筋梗塞
彎曲わんきょく症候群

脾膿瘍
右側腹部痛臍(へそ)部痛左側腹部痛
右尿路結石

右腎盂腎炎

上行結腸憩室炎
腸炎

急性虫垂炎初期

腸閉塞

腹部大動脈瘤破裂
左尿路結石

左腎盂腎炎

虚血性大腸炎
右下腹部痛下腹部痛左下腹部痛
急性虫垂炎膀胱炎

子宮付属器炎

卵巣腫瘍軸捻転

子宮外妊娠破裂
便秘

S状結腸憩室炎

消化性潰瘍であれば空腹時に痛みが強くなったり、小腸の狭窄があれば食後20分程度で痛みが起こったりします。

東洋医学的腹痛

東洋医学的には心窩部周辺に起こる痛みを「胃脘痛」、臍周辺に起こる痛みを「臍腹痛」、下腹部に起こる痛みを「小腹痛」、脇腹に起こる痛みを「少腹痛」といいます。

1,胃脘痛

①寒邪犯胃の胃脘痛

外邪による侵襲を受けた場合や、冷たいものや生ものなどを過食した場合に起こります。主な症状は胃脘部の強い痛みでさすると不快感(拒按)があります。痛みは冷たい刺激で悪化し、温めると楽になります。口が渇くなどの症状はありませんが、温かい飲み物を好むようになります。

②食滞の胃脘痛

飲食の不摂生や暴飲暴食などにより、胃に食滞(食べ物が停滞すること)が生じることで起こります。暴飲暴食以外にも、脾胃の虚弱な人が消化の悪いものを食べた場合にも起こります。主な症状は胃脘部の張ったような痛み、拒按、厭食えんしょく(食欲・摂食量低下)、曖気あいき(げっぷ)、嘔吐(吐くと痛みが軽減)、呑酸どんさん(酸っぱいものがあがってくる)などがあります。

③肝胃不和の胃脘痛

情志の失調(精神的ストレス)により肝気が鬱結して胃に横逆する(肝気が胃を攻撃する)ことにより胃の機能が障害されて起こります。主な症状は胃脘部の張ったような痛みが起こって胸脇部に放散します。随伴症状として、胸脇部の苦しい感じ、食欲不振、呑酸、嘔吐、ため息、曖気などで、曖気によって症状が軽減します。

④脾胃虚寒の胃脘痛

脾気虚が進行した場合や、生ものや冷たいものの過食が脾胃の虚弱を引き起こします。主な症状は胃脘痛、喜温喜按(温めたり押さえたりすると楽になる)、冷え感、空腹によって悪化し食後に楽になるなどがあります。随伴症状として疲労倦怠、気力減退、寒がり、四肢の冷え、食欲不振などがあります。

⑤胃陰虚の胃脘痛

肝鬱化火や慢性病などのために胃の陰液が損傷されて滋潤を失い、胃の降濁作用が失調した場合に起こります。主な症状は灼熱感を伴う胃脘痛、口苦、口渇(多飲はなし)、空腹感はあるが食べないなどがあります。

2,臍腹痛

①寒凝の臍腹痛

臍の周囲に激しい痛みが突然に起こります。脾胃虚弱の人がお腹を冷やしたり、生ものや冷たいものを摂りすぎることによって発症します。食欲不振や泥状便が現れます。

②脾腎陽虚の臍腹痛

脾陽虚が持続することで腎陽虚を招き、腹部に虚寒が生じて臍腹痛を発症します。主な症状として痛みが慢性的に増減して、温めると楽になります。冷え性で疲労倦怠があり、泥状~水様便があります。

③食積の臍腹痛

暴飲暴食などの飲食の不摂生による臍周囲の腹痛で、曖気、悪心、食欲不振、未消化の下痢で大便に酸臭があります。

④湿熱の臍腹痛

湿熱によるもので、西洋医学的には大腸炎に相当します。主な症状は臍部の腹痛、痛みがあると下痢を催しますが渋り腹となります。大便は粘稠あるいは粘血便で悪臭があり、口渇、口苦などがあります。

⑤脾胃気滞の臍腹痛

脾胃の運化機能の低下により、昇降機能が失調して気滞が生じて、臍腹痛が起こります。従って、腸痛はガスの貯留で増悪し、放屁によって楽になります。情緒や感情の変動に伴って痛みも悪化します。

3,小腹痛

①膀胱湿熱の小腹痛

湿邪が膀胱を侵襲することによって生じる腹痛で、下腹部の膨満感や排尿時の灼熱痛、尿が濃く、時に血尿が出て量は少ないというのが特徴になります。

②下焦虚寒の小腹痛

下腹部の増減する痛み、四肢や腹部の冷え、冷えると痛みが強くなって温めると軽減します。

4,少腹痛

①肝気鬱結の少腹痛

肝鬱により疏泄機能が失調し、気滞が生じて起こります。主な症状は下腹部両側の張った痛み、痛みは陰部に放散し、胸苦しさ、ため息、イライラ、怒りっぽくなる、押さえると悪化するなどがあります。

対処法

基本的には内科で相談した方が良いケースの方が多いです。但し、内科で相談しても改善が見られない場合は鍼灸が効果的になります。

あまりセルフケア方法というのはありませんが、少しだけ紹介させていただきます。

胃脘痛に関しては梁丘(膝のお皿の上端から指3本上の外側辺りにあります)というツボを強めに押さえることが効果的になります。

臍腹痛の寒凝や脾腎陽虚の場合は臍と臍から指1.5本下の所をドライヤーなり蒸しタオルなどで温めると効果的になります。

脾胃気滞や湿熱による痛みに対しては合谷や曲池、太衝などを押さえると良いでしょう。

まとめ

基本的に腹痛は自分で何とかしようとせずに早めに医療機関に受診することが望ましいです。大きな病気が隠れている場合もありますからね。今回紹介したもの以外にも腹痛を起こすものはいっぱいあります。ただの腹痛と思っていると取り返しの付かなくなることもあるのでご注意ください。

東洋医学的なものの中に「あ、自分これ当てはまる!」といものがあれば鍼灸がよく効くこともあるので是非探して受けてみてください。


過去の記事はこちら↓

夏でもキンキン!?あなたの身体をむしばむ冷え性とは何なのか! 

あなたのめまいはグルグル?フワーッと?めまいに対するセルフケアまとめ! 

2024/08/12

夏でもキンキン!?あなたの身体をむしばむ冷え性とは何なのか!

毎日暑い日が続いて心身ともに疲弊しますね...。

みなさんはきちんとクーラーなどで暑さ対策はしていますでしょうか?

冷え性であまりクーラーの風が得意ではないという方もみえるかと思います。

そこで今回は「冷え性」について書いていきたいと思います。

「冷え性」とは

冷え性は原因のよくわからない本態性冷え性と、種々の基礎疾患によって起こる続発性冷え性の2種類に分類されます。

本態性冷え性とは自律神経失調性のもの(いわゆる冷え性)と心因性のものとに分けられ、自律神経失調性のものはこれが失調することにより、血管運動神経機能を障害し、冷感部位の毛細血管攣縮れんしゅく(けいれんのようなもの)が原因で血行が妨げられて、その結果として冷たく感じるもので別名冷覚過敏症とも言います。

心因性のものは自律神経機能検査に異常は示していませんが、情動障害が根底にあり、それが作用して皮膚の冷覚過敏を起こします。

続発性冷え性とは上述の通り種々の基礎疾患によって発症するもので、その原因には貧血、甲状腺機能低下症(粘液水腫)、心臓弁膜症、末梢循環不全(バージャー病、閉塞性動脈硬化症、レイノー病)などがあります。

冷え性を訴える頻度は女性の方が圧倒的に多い傾向にあります。これは性機能の転換期(思春期や更年期)が影響しています。月経異常を伴えばさらに頻度は高まります。

また、甲状腺ホルモンが低下し、代謝が低下することで寒冷耐性も低下させてしまうこともあります。

心機能を含めた循環機能との関連では、血圧が関与しています。若年層の冷え性では低血圧、中高年層では高血圧の傾向があります。

ではここで冷え性の判断について今一度確認してみましょう。自分は冷え性かもしれないという方は是非一度目を通してみてください。

続きを読む
「冷え性」調査用問診票(寺澤変法)
0.「冷え性」だとは思わない
1.他の多くの人に比べて寒がりの性分であると思う
2.身体全体が冷えてつらいことがある
3.腰や手足、あるいは身体の一部に冷えがあってつらい
4.足が冷えるので夏でも厚い靴下をはくようにしている
5.他の多くの人に比べてかなり厚着をする方だと思う
6.冬になると冷えるので電気毛布や電気敷布、
あるいはカイロなどをいつも用いるようにしている
7.冷房の効いている所は身体が冷えてつらい
8.「冷え」のつらさはここ数年続いている
9.冬には電気毛布や電気敷布を使っている
10.クーラーは嫌いである
11.手足が他の多くの人より冷たい方だと思う
12.夏でも厚手の靴下をはくのが好きである
13.厚着をするのは好きである
14.とくに冬には身体を丸くして寝るクセがある
15.冬とか寒い日などは小便がとても近くなる
16.夏でも熱い飲み物が好きである
17.他の人よりも自分の顔色は青白い方だと思う
18.体温がいつも36℃より上には上がらない
19.寒い日には関節がこわばったり、痛んだりすることがある
20.夏でも手が冷えることがある
21.身体が急に暑くなったり、冷たくなったりすることがある
22.たえず手足に冷えを感じる
23.しもやけができやすい
24.とくに冬には足が冷たくて寝付けないことがある
1~8はどれか一つ、9~24は当てはまるもの全てにチェックを入れてください

以上の表を元に冷え性かどうかを確認します。

東洋医学的な「冷え性」

東洋医学では冷え性は5つのタイプに分類されます。

1.気虚型

気の不足から生じる気虚に伴う冷え性は、全身倦怠感、易疲労、息切れ、めまい感などを伴います。気虚型の1型として腎虚型があり、腰背部や下半身に冷えを訴えることが多いです。

2.気滞・気逆型

気滞型は気の運行が停滞したことで生じるもので、頭痛、肩こり、易疲労などを伴うことが多く、さらに精神状態が症状を左右します。

気逆とは、全身を秩序よく巡るべき気が上半身のみに集中したり、手足などの末梢に巡らずに体幹部に集中したりする状態です。主に顔面の紅潮や首から上のみの発汗、下半身の冷感を訴えます。

3.血虚型

血の不足から生じるもので、血は気の働きを担って全身を栄養し、身体の恒常性を保っています。血が不足すると、皮膚の荒れ、脱毛、爪の生育障害、動悸、めまい、易疲労、月経異常などを伴います。

4.瘀血おけつ

血が停滞したことで生じるもので、末梢循環障害と密接に関連する代表的なもので冷え性の約60%は瘀血を基盤していると考えられています。

5.水毒型

津液(生命活動の維持に必要な全ての水液)が身体の一部に偏って存在することで生じます。

セルフケア方法

とにかく温めるのが一番ですね。人の身体には大血管と呼ばれる代表的な太い血管があります。椎骨動脈や腋窩動脈、腹大動脈や大腿動脈などです。これらを重点的に温めることで全身の循環血液の血行促進効果が得られます。

ツボを意識して温めたい場合は、関元三陰交、太衝足三里、血海などがあります。

血海は太ももにあります。膝のお皿から指4本上の辺り(やや内側)にあります。

まとめ

夏場でも指先や足先が冷えている方がみえますね。冬場などはとくに辛くなるのではないでしょうか。

冷え性はとくに鍼灸治療が効果的です。主に電気を流す鍼とお灸を併用して行ないます。

瘀血などはとくに鍼の方がよく取れるのでもし、冷え性に悩まれている方がいらっしゃれば一度お近くの鍼灸院を訪ねてみてください。

過去の記事はこちら↓

あなたのめまいはグルグル?フワーッと?めまいに対するセルフケアまとめ! 

眠れない!寝付けない!すぐ目が覚める!睡眠障害に対する効果的な対策法! 

2024/08/05

あなたのめまいはグルグル?フワーッと?めまいに対するセルフケアまとめ!

 みなさんはめまいになったことはありますか?

ふわーっとするようなめまいやグワングワンするようなめまいなどいろいろありますよね。

今回はめまいについて記事を書いていきたいと思います。

めまいは何故起こるの?

最近はめまいへの理解が深い人が増えてきていますね。めまいってなんで起こるか知ってる?と聞くと耳の中の石が転がるからと答えてくださる人が多い印象です。

めまいは確かに耳の中の石(耳石)の異常でも起こりますが、原因はそれだけではないのをご存じでしょうか?

めまいとは主に末梢性めまいと中枢性めまいに分類されます。

みなさんがイメージされるようなめまいは末梢性のものが多く、耳石器や半規管および前庭神経の障害によって引き起こされます。この末梢性めまいはしばしば耳鳴や難聴、耳閉感といった蝸牛(耳の中の構造として蝸牛と呼ばれる部位があります)症状の随伴も見られます。めまいの起こり方は中枢神経症状が無く、暗所でめまい感が増強する特徴があります。

また、悪心嘔吐や冷汗などの自律神経症状が強く出る迷路性めまいがここに属します。

中枢性めまいとは小脳や脳幹・大脳の血管障害、腫瘍などの障害によって生じます。一般的にめまいは非回転性・非発作性で持続しますが、小脳や脳幹の急性障害では回転性のめまいが生じます。めまい以外にも他の神経症状が出ますが、聴覚障害は起こりません。

末梢性のめまいを引き起こす原因としてよくあげられるものにメニエール病、突発性難聴、内耳炎、前庭神経炎などがあります。メニエールや突発性難聴はよく聞く病名ですね。

中枢性のめまいとは脳血管障害や脳腫瘍、脳変性疾患などがあたります。

その他に血圧調節機能の障害による起立性めまいや、心因性のめまいなどもあります。

では自分で判断できることはあるのかについて見ていきましょう。

めまいの判断

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以下に表にまとめていきますのでそちらを参考にしてみてください。

発現状況

疾患

自発性・発作性

反復性

メニエール病など

単発性

突発性難聴、前庭神経炎、時に脳血管障害など

誘発性

発作性頭位眩暈症など

持続性・進行性

中枢神経障害など


症状の分類症状疾患
耳症状耳鳴・耳閉感・難聴などメニエール病、突発性難聴など
神経症状手足・顔のしびれ感、複視、言語障害、
嚥下障害、意識障害など
脳血管障害、脳腫瘍、聴神経腫瘍など
病名特徴
メニエール病
  1. 自発性・発作性で反復性のめまい発作

  2. めまい発作に耳鳴、耳閉感・難聴など耳症状を伴う

  3. 神経症状を認めない
突発性難聴
  1. 自発性・発作性で単発性

  2. 高度の難聴

  3. かなり長時間のめまい
発作性頭位眩暈症
  1. 誘発性のめまい発作

  2. 短時間のめまい

  3. 耳鳴・難聴・神経症状などを伴わない
中枢性めまい
  1. 持続性・進行性、時に発作性

  2. めまいというより歩行障害が多い
  3. 神経症状を伴うことが多い

東洋医学的めまい

東洋医学ではめまいに関する単語がいくつかありますが、ここでは代表的な「頭暈ずうん」「眩暈げんうん」を紹介しておきます。

頭暈は目がかすんで頭がふらつくことや、ものが揺れて動いて見えたり、周囲が回転して立っていることができずに悪心嘔吐してしまうなどの症状を指します。

代表的な病証として「気血両虚」「痰湿中阻」「腎精不足」「肝火上炎」「肝陽上亢」「肝陽化風」が挙げられます。

「気血両虚」のめまい

もともと脾胃虚弱の体質や過労によって元気が消耗されて気が不足することによって起こります。

めまいの性質としてはふらつきや立ちくらみで、激しい時は転倒する時もあります。

また、体動によりめまいが悪化し、耳鳴、動悸、息切れ、全身倦怠、易疲労感、食欲不振、軟便または下痢、不眠、気疲れ、物忘れ、無気力、口数が少ない、声に力が無い、顔や皮膚・口唇・爪などの血色が乏しい、皮膚につやがない、汗をかきやすいなどを伴います。

女性はさらに月経過多・少、月経不順、不正子宮出血、帯下などを伴うこともあります。

症状が重い時は顔面・下腿に浮腫をきたすこともあります。

このセルフケア法としては、中脘気海太渓太白を心地よい温度で温め、足三里・豊隆を少し強めにこするようにマッサージしてください。

「痰湿中阻」のめまい

暴飲暴食などによって脾胃の機能が損なわれ、水湿が停滞して痰が生じ、この痰湿が中焦を鬱ぎ陽気が頭に回らないために起こります。

めまいは回転性あるいは宙に浮いた感じの場合もあり、動くと悪化します。その多くは頭痛、悪心を伴い、激しい時には月に何回か嘔吐を伴う発作性のめまいや頭痛を起こします。他に食欲不振や全身倦怠、易疲労感、頭重感、耳鳴、心窩部の冷え感、動悸、眠気(特に食後の眠気)、足の冷えなどを伴います。天候によって悪化するのが特徴的でもあります。

このセルフケア法は、中脘・関元三陰交・太白を心地よい温度で温めてください。豊隆は少し強いくらいにマッサージしてください。頭痛や耳鳴が強い場合は風池・天柱を加えると良いでしょう。

「腎精不足」のめまい

老化による腎気の衰弱や房事過多(性交渉や自慰行為など)により腎陰が消耗されるために起こります。

めまいはフラフラする感じで、他に耳鳴、腰や膝・下肢などの鈍痛や無力感、歩行障害、性機能減退、動作緩慢、健忘ないし痴呆、脱毛、歯の動揺、無気力、精神的不活発、視力低下などを伴います。

腎陰虚の傾向が強い時は陰虚による内熱のため、これらの症状に加えて、喉の渇き、手足の火照り、のぼせ、顔面紅潮、イライラ、不眠、寝汗、午後の微熱、皮膚の乾燥、るい痩、性欲の一過性亢進などがあります。

腎陽虚の傾向が強い時は、四肢の冷え、寒冷を嫌う、頻尿、排尿障害、夜間尿、精神集中力の低下、インポテンツ、膝・下肢の冷えまたは痛み、顔色が悪い、皮膚のつやがない、早朝の下痢などの症状が加わります。

このセルフケア法は、中脘・関元・太渓・太白を温めてください。

腎陰虚の傾向が強い場合はこれに三陰交・陰陵泉を加えてください。方法は同じです。

腎陽虚の傾向が強い場合は最初の4つのツボを、何もしなくてもじんわりと温かさが続くくらいしっかりと温めてください。

「肝火上炎」のめまい

怒り、悩みがうっ積して肝気が抑うつして起こります。

めまいの他に、顔面紅潮、のぼせ、不眠、頭痛、肩こり、イライラ、易怒性、憂うつ感、情緒不安定、胸や脇が張って苦しい感じ、便秘または下痢を繰り返す、頻尿などを伴います。女性の場合は月経不順、月経痛、月経時乳房腫脹感などを伴います。

こちらは鍼灸治療の方がよく効きます。可能なら鍼灸治療を受けた方が早いでしょう。

セルフケア法としては太衝、三陰交、陽陵泉に爪楊枝の先でチクッとくるくらいの刺激をしましょう。不眠、頭痛、肩こりがある場合は風池、天柱、完骨に爪楊枝の先でタッピングをすると良いかと思います。

「肝陽上亢」のめまい

肝火上炎によって肝陰が消耗され、肝陽が昂ぶることにより起こります。めまいはフラフラする感じで、めまいが激しい時は悪心嘔吐が生じることもあります。他にイライラ、易怒性、頭痛(主に後頭部痛)、頭重感、肩こり、耳鳴、眼精疲労、不眠、顔面紅潮、口が苦いなどを伴います。

「肝陽化風」のめまい

肝陽上亢によって内風が生じて起こります。肝陽上亢の症状に加えて激しい頭痛、めまい、手足や舌のふるえ、舌が回らない、まっすぐに歩けない、直立できない、頭や身体がゆれるなどの症状があり、激しい時は半身麻痺や意識障害などを伴います。

肝陽上亢と肝陽化風はセルフケア法はありません。すぐに病院へ受診しましょう。肝陽上亢までなら鍼灸治療でも大丈夫です。

まとめ

めまいも奥が深いですよね。めまいが起きている中でこのような長文を読まれるのは非常に辛いものがあるでしょう。

めまいを持っている方はここを読み返さなくても済むくらいに覚えて予防的に実践されると良いかと思います。

今回は大分長くなってしまいましたが、めまいについてどのような対処をすれば良いのか分かっていただけたでしょうか?

次回もよろしくお願いいたします。

☆参考文献☆

鍼灸療法技術ガイドⅡ


過去の記事はこちら↓

眠れない!寝付けない!すぐ目が覚める!睡眠障害に対する効果的な対策法! 

東洋医学の「気」ってどんなもの?詳しく解説します! 

その腹痛は大丈夫?放っておくと危険な腹痛とは!?セルフケア方法も紹介してます!

 暑い日はとくに冷たいものが欲しくなりますよね。冷房のよく効いた部屋に居たりなど身体を冷やすことが多く、お腹が冷えて痛んだりしませんか? また、緊張する場面やいやなことがある前などでも痛くなりますよね。今回はそんな腹痛について書いていきたいと思います。 腹痛とは 西洋医学的腹...