最近テレビなどでも注目されてきている鍼灸などの東洋医学ですが、それに関連するものは私たちの日常生活の中でも深く関わっているのをご存じでしょうか?
その中でもよく出てくる「気」について今回は解説していきたいと思います。
みなさんは「気」が付く言葉をいくつご存じでしょうか?
ぱっと出てくるものでも、「天気」「元気」「空気」のようなものから、「気をつかう」や「気にする」などの慣用句でも出てきますよね。
気ってどんなもの?
治療の中でも、「気功」をつかう人もいます。では、そもそも「気」とは何なのかと言うと、整体関連の方の考えと一致するか分かりませんが、私たち鍼灸師が使う「気」とは「万物を構成するもの」とされています。
東洋医学の中では気とはまず、「先天の気」「後天の気」から始まり、「原気(元気)」「宗気」「衛気」「営気」の4つに分類されます。この4つの中で「原気」は「先天の気」に分類され、後の3つが「後天の気」に分類されます。
☆雑学コーナー~その他の気~☆
①正気:病から人体を守る機能(抵抗力・回復力)を指します。
②邪気:各種病気の発病因子のことを指します。
③精気:精そのものを指します。
④清気:身体に必要な物質のことを指します。
⑤濁気:身体に不必要な物質のことを指します。
原気というのは増えることはありません。生まれながらにしてもっているものでこの原気が無くなると人は生きていけなくなります。
この原気の消耗を少なくするために後天の気と呼ばれる3つでカバーをしているのです。
続きを読む
まずわかりやすいもので衛気というのがあります。これは身体の表面を流れるもので邪気から身を守ってくれるものになります。その他に、身体を温めたり、乾かないようにしたり、発汗させたりして体温を一定に保つ働きをしています。
次に営気です。これは身体の栄養分のような感じですね。血液と一緒に流れています。
最後に宗気ですが、これは呼吸を促したり血液の運行を促進したりします。
これら3つの気は後天と言われるように増やすことができます。呼吸や食物から栄養を取りそれらを後天の気として精製します。
気の大きな働きとして、5つのものがあります。
作用 | 働き |
---|---|
推動作用 | 人の成長発育及び臓腑の生理活動を促進する。 その他に血・津液・精などをおし動かす働きをもつ |
温煦作用 | 人体の組織・器官を温める働きをもつ |
固摂作用 | 生理物質を正常な場所に留め、やたらに流出するのを防ぐ働きをもつ |
防御作用 | 外邪が人体に侵入するのを防ぐ働きをもつ |
気化作用 | 各種の変化を引き起こす働きをもつ。例)飲食物から気の化生、 気から血・津液・精などへの転化、汗や尿など排泄物の生成など |
となります。(その他の作用として、栄養・情報伝達もあります。)
つまり、気が足りなくなると、成長発育が遅れ、身体は冷えて免疫力が低下し、出血しやすくなり、汗や尿が出なくなり身体の中に老廃物が溜まりまくりという最悪な状況に陥ります。
こうならないようにするためにはバランスの良い食事と質の良い睡眠を取ること、適度に運動をして身体を活性化させることが大事なこととなります。
気を高めるツボはあるの?
気を活性化させるツボはあります。代表的な所でいえば関元、気海、膻中、太衝、百会ですね。
関元は過去の記事でも紹介しているのでそちらを参照してください。
気海はおへそから親指1.5本分下のところにあります。
膻中は男性ではおへその直線上で両乳首の間の真ん中にあります。女性は胸の関係で少しずれますが、おおよそそのあたりだと思っていただければ大丈夫です。
太衝は過去の記事で紹介しています。足の甲にありますが、詳しくはそちらを参照してください。
百会は頭のてっぺんで両耳の先端同士を結んだ線上の交点にあります。
太衝以外のツボは基本的には温めるようにしてください。太衝のツボは流すようなイメージでマッサージしてください。
まとめ
「気」についてどんなものか、わかっていただけたでしょうか?目に見えない物でありながら、私たちの身の回りには「気」という言葉があふれています。
東洋医学では気が無くなることを「気虚」、気が停滞することを「気滞」などといいます。「気虚」が問題なのは何となくおわかりかと思います。元気の素が無くなれば元気になれないのですから。ただし、「気虚」が続いたらどうなると思いますか?
気虚が続いたら臓腑の機能不全を引き起こし、免疫力が下がって病気になりやすくなり、身体は弛んで大小便が我慢できなくなります。そうなる前にきちんとリフレッシュして英気を養っておきましょう。
なお、気滞が続くと足がつるようになったり、無性にイライラしてきたり、便秘になったりします。これを防ぐには適度な運動が一番ですが、そんな時間が無い!という方は太衝をマッサージしてあげてください。「行気」といって滞った気の流れをスムーズにしてくれる作用があります。
これから熱くなって「気が滅入り」ますが、上述のツボをつかって「元気」に過ごしていきましょう!
過去の記事はこちら↓