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2024/08/19

その腹痛は大丈夫?放っておくと危険な腹痛とは!?セルフケア方法も紹介してます!

 暑い日はとくに冷たいものが欲しくなりますよね。冷房のよく効いた部屋に居たりなど身体を冷やすことが多く、お腹が冷えて痛んだりしませんか?

また、緊張する場面やいやなことがある前などでも痛くなりますよね。今回はそんな腹痛について書いていきたいと思います。

腹痛とは

西洋医学的腹痛

腹痛は病気になるとよくみられる症状でもあり、精神的な面でも起こりえます。精神的なものの理由として、交感神経が優位になることで胃酸の分泌が増えて胃への負担が大きくなることによる胃痛が考えられます。

その他の腹痛の原因疾患としては部位ごとに以下のようなものが挙げられます。(これが全てではありません。参考程度に留めておいてください。)

右季肋部痛心窩部痛左季肋部痛
胆石症

胆嚢炎

胆膿瘍

急性肝炎

横隔膜下膿瘍
胃炎

胃・十二指腸潰瘍

急性膵炎

慢性膵炎

胃癌

膵癌

狭心症

心筋梗塞
彎曲わんきょく症候群

脾膿瘍
右側腹部痛臍(へそ)部痛左側腹部痛
右尿路結石

右腎盂腎炎

上行結腸憩室炎
腸炎

急性虫垂炎初期

腸閉塞

腹部大動脈瘤破裂
左尿路結石

左腎盂腎炎

虚血性大腸炎
右下腹部痛下腹部痛左下腹部痛
急性虫垂炎膀胱炎

子宮付属器炎

卵巣腫瘍軸捻転

子宮外妊娠破裂
便秘

S状結腸憩室炎

消化性潰瘍であれば空腹時に痛みが強くなったり、小腸の狭窄があれば食後20分程度で痛みが起こったりします。

東洋医学的腹痛

東洋医学的には心窩部周辺に起こる痛みを「胃脘痛」、臍周辺に起こる痛みを「臍腹痛」、下腹部に起こる痛みを「小腹痛」、脇腹に起こる痛みを「少腹痛」といいます。

1,胃脘痛

①寒邪犯胃の胃脘痛

外邪による侵襲を受けた場合や、冷たいものや生ものなどを過食した場合に起こります。主な症状は胃脘部の強い痛みでさすると不快感(拒按)があります。痛みは冷たい刺激で悪化し、温めると楽になります。口が渇くなどの症状はありませんが、温かい飲み物を好むようになります。

②食滞の胃脘痛

飲食の不摂生や暴飲暴食などにより、胃に食滞(食べ物が停滞すること)が生じることで起こります。暴飲暴食以外にも、脾胃の虚弱な人が消化の悪いものを食べた場合にも起こります。主な症状は胃脘部の張ったような痛み、拒按、厭食えんしょく(食欲・摂食量低下)、曖気あいき(げっぷ)、嘔吐(吐くと痛みが軽減)、呑酸どんさん(酸っぱいものがあがってくる)などがあります。

③肝胃不和の胃脘痛

情志の失調(精神的ストレス)により肝気が鬱結して胃に横逆する(肝気が胃を攻撃する)ことにより胃の機能が障害されて起こります。主な症状は胃脘部の張ったような痛みが起こって胸脇部に放散します。随伴症状として、胸脇部の苦しい感じ、食欲不振、呑酸、嘔吐、ため息、曖気などで、曖気によって症状が軽減します。

④脾胃虚寒の胃脘痛

脾気虚が進行した場合や、生ものや冷たいものの過食が脾胃の虚弱を引き起こします。主な症状は胃脘痛、喜温喜按(温めたり押さえたりすると楽になる)、冷え感、空腹によって悪化し食後に楽になるなどがあります。随伴症状として疲労倦怠、気力減退、寒がり、四肢の冷え、食欲不振などがあります。

⑤胃陰虚の胃脘痛

肝鬱化火や慢性病などのために胃の陰液が損傷されて滋潤を失い、胃の降濁作用が失調した場合に起こります。主な症状は灼熱感を伴う胃脘痛、口苦、口渇(多飲はなし)、空腹感はあるが食べないなどがあります。

2,臍腹痛

①寒凝の臍腹痛

臍の周囲に激しい痛みが突然に起こります。脾胃虚弱の人がお腹を冷やしたり、生ものや冷たいものを摂りすぎることによって発症します。食欲不振や泥状便が現れます。

②脾腎陽虚の臍腹痛

脾陽虚が持続することで腎陽虚を招き、腹部に虚寒が生じて臍腹痛を発症します。主な症状として痛みが慢性的に増減して、温めると楽になります。冷え性で疲労倦怠があり、泥状~水様便があります。

③食積の臍腹痛

暴飲暴食などの飲食の不摂生による臍周囲の腹痛で、曖気、悪心、食欲不振、未消化の下痢で大便に酸臭があります。

④湿熱の臍腹痛

湿熱によるもので、西洋医学的には大腸炎に相当します。主な症状は臍部の腹痛、痛みがあると下痢を催しますが渋り腹となります。大便は粘稠あるいは粘血便で悪臭があり、口渇、口苦などがあります。

⑤脾胃気滞の臍腹痛

脾胃の運化機能の低下により、昇降機能が失調して気滞が生じて、臍腹痛が起こります。従って、腸痛はガスの貯留で増悪し、放屁によって楽になります。情緒や感情の変動に伴って痛みも悪化します。

3,小腹痛

①膀胱湿熱の小腹痛

湿邪が膀胱を侵襲することによって生じる腹痛で、下腹部の膨満感や排尿時の灼熱痛、尿が濃く、時に血尿が出て量は少ないというのが特徴になります。

②下焦虚寒の小腹痛

下腹部の増減する痛み、四肢や腹部の冷え、冷えると痛みが強くなって温めると軽減します。

4,少腹痛

①肝気鬱結の少腹痛

肝鬱により疏泄機能が失調し、気滞が生じて起こります。主な症状は下腹部両側の張った痛み、痛みは陰部に放散し、胸苦しさ、ため息、イライラ、怒りっぽくなる、押さえると悪化するなどがあります。

対処法

基本的には内科で相談した方が良いケースの方が多いです。但し、内科で相談しても改善が見られない場合は鍼灸が効果的になります。

あまりセルフケア方法というのはありませんが、少しだけ紹介させていただきます。

胃脘痛に関しては梁丘(膝のお皿の上端から指3本上の外側辺りにあります)というツボを強めに押さえることが効果的になります。

臍腹痛の寒凝や脾腎陽虚の場合は臍と臍から指1.5本下の所をドライヤーなり蒸しタオルなどで温めると効果的になります。

脾胃気滞や湿熱による痛みに対しては合谷や曲池、太衝などを押さえると良いでしょう。

まとめ

基本的に腹痛は自分で何とかしようとせずに早めに医療機関に受診することが望ましいです。大きな病気が隠れている場合もありますからね。今回紹介したもの以外にも腹痛を起こすものはいっぱいあります。ただの腹痛と思っていると取り返しの付かなくなることもあるのでご注意ください。

東洋医学的なものの中に「あ、自分これ当てはまる!」といものがあれば鍼灸がよく効くこともあるので是非探して受けてみてください。


過去の記事はこちら↓

夏でもキンキン!?あなたの身体をむしばむ冷え性とは何なのか! 

あなたのめまいはグルグル?フワーッと?めまいに対するセルフケアまとめ! 

2024/08/12

夏でもキンキン!?あなたの身体をむしばむ冷え性とは何なのか!

毎日暑い日が続いて心身ともに疲弊しますね...。

みなさんはきちんとクーラーなどで暑さ対策はしていますでしょうか?

冷え性であまりクーラーの風が得意ではないという方もみえるかと思います。

そこで今回は「冷え性」について書いていきたいと思います。

「冷え性」とは

冷え性は原因のよくわからない本態性冷え性と、種々の基礎疾患によって起こる続発性冷え性の2種類に分類されます。

本態性冷え性とは自律神経失調性のもの(いわゆる冷え性)と心因性のものとに分けられ、自律神経失調性のものはこれが失調することにより、血管運動神経機能を障害し、冷感部位の毛細血管攣縮れんしゅく(けいれんのようなもの)が原因で血行が妨げられて、その結果として冷たく感じるもので別名冷覚過敏症とも言います。

心因性のものは自律神経機能検査に異常は示していませんが、情動障害が根底にあり、それが作用して皮膚の冷覚過敏を起こします。

続発性冷え性とは上述の通り種々の基礎疾患によって発症するもので、その原因には貧血、甲状腺機能低下症(粘液水腫)、心臓弁膜症、末梢循環不全(バージャー病、閉塞性動脈硬化症、レイノー病)などがあります。

冷え性を訴える頻度は女性の方が圧倒的に多い傾向にあります。これは性機能の転換期(思春期や更年期)が影響しています。月経異常を伴えばさらに頻度は高まります。

また、甲状腺ホルモンが低下し、代謝が低下することで寒冷耐性も低下させてしまうこともあります。

心機能を含めた循環機能との関連では、血圧が関与しています。若年層の冷え性では低血圧、中高年層では高血圧の傾向があります。

ではここで冷え性の判断について今一度確認してみましょう。自分は冷え性かもしれないという方は是非一度目を通してみてください。

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「冷え性」調査用問診票(寺澤変法)
0.「冷え性」だとは思わない
1.他の多くの人に比べて寒がりの性分であると思う
2.身体全体が冷えてつらいことがある
3.腰や手足、あるいは身体の一部に冷えがあってつらい
4.足が冷えるので夏でも厚い靴下をはくようにしている
5.他の多くの人に比べてかなり厚着をする方だと思う
6.冬になると冷えるので電気毛布や電気敷布、
あるいはカイロなどをいつも用いるようにしている
7.冷房の効いている所は身体が冷えてつらい
8.「冷え」のつらさはここ数年続いている
9.冬には電気毛布や電気敷布を使っている
10.クーラーは嫌いである
11.手足が他の多くの人より冷たい方だと思う
12.夏でも厚手の靴下をはくのが好きである
13.厚着をするのは好きである
14.とくに冬には身体を丸くして寝るクセがある
15.冬とか寒い日などは小便がとても近くなる
16.夏でも熱い飲み物が好きである
17.他の人よりも自分の顔色は青白い方だと思う
18.体温がいつも36℃より上には上がらない
19.寒い日には関節がこわばったり、痛んだりすることがある
20.夏でも手が冷えることがある
21.身体が急に暑くなったり、冷たくなったりすることがある
22.たえず手足に冷えを感じる
23.しもやけができやすい
24.とくに冬には足が冷たくて寝付けないことがある
1~8はどれか一つ、9~24は当てはまるもの全てにチェックを入れてください

以上の表を元に冷え性かどうかを確認します。

東洋医学的な「冷え性」

東洋医学では冷え性は5つのタイプに分類されます。

1.気虚型

気の不足から生じる気虚に伴う冷え性は、全身倦怠感、易疲労、息切れ、めまい感などを伴います。気虚型の1型として腎虚型があり、腰背部や下半身に冷えを訴えることが多いです。

2.気滞・気逆型

気滞型は気の運行が停滞したことで生じるもので、頭痛、肩こり、易疲労などを伴うことが多く、さらに精神状態が症状を左右します。

気逆とは、全身を秩序よく巡るべき気が上半身のみに集中したり、手足などの末梢に巡らずに体幹部に集中したりする状態です。主に顔面の紅潮や首から上のみの発汗、下半身の冷感を訴えます。

3.血虚型

血の不足から生じるもので、血は気の働きを担って全身を栄養し、身体の恒常性を保っています。血が不足すると、皮膚の荒れ、脱毛、爪の生育障害、動悸、めまい、易疲労、月経異常などを伴います。

4.瘀血おけつ

血が停滞したことで生じるもので、末梢循環障害と密接に関連する代表的なもので冷え性の約60%は瘀血を基盤していると考えられています。

5.水毒型

津液(生命活動の維持に必要な全ての水液)が身体の一部に偏って存在することで生じます。

セルフケア方法

とにかく温めるのが一番ですね。人の身体には大血管と呼ばれる代表的な太い血管があります。椎骨動脈や腋窩動脈、腹大動脈や大腿動脈などです。これらを重点的に温めることで全身の循環血液の血行促進効果が得られます。

ツボを意識して温めたい場合は、関元三陰交、太衝足三里、血海などがあります。

血海は太ももにあります。膝のお皿から指4本上の辺り(やや内側)にあります。

まとめ

夏場でも指先や足先が冷えている方がみえますね。冬場などはとくに辛くなるのではないでしょうか。

冷え性はとくに鍼灸治療が効果的です。主に電気を流す鍼とお灸を併用して行ないます。

瘀血などはとくに鍼の方がよく取れるのでもし、冷え性に悩まれている方がいらっしゃれば一度お近くの鍼灸院を訪ねてみてください。

過去の記事はこちら↓

あなたのめまいはグルグル?フワーッと?めまいに対するセルフケアまとめ! 

眠れない!寝付けない!すぐ目が覚める!睡眠障害に対する効果的な対策法! 

2024/08/05

あなたのめまいはグルグル?フワーッと?めまいに対するセルフケアまとめ!

 みなさんはめまいになったことはありますか?

ふわーっとするようなめまいやグワングワンするようなめまいなどいろいろありますよね。

今回はめまいについて記事を書いていきたいと思います。

めまいは何故起こるの?

最近はめまいへの理解が深い人が増えてきていますね。めまいってなんで起こるか知ってる?と聞くと耳の中の石が転がるからと答えてくださる人が多い印象です。

めまいは確かに耳の中の石(耳石)の異常でも起こりますが、原因はそれだけではないのをご存じでしょうか?

めまいとは主に末梢性めまいと中枢性めまいに分類されます。

みなさんがイメージされるようなめまいは末梢性のものが多く、耳石器や半規管および前庭神経の障害によって引き起こされます。この末梢性めまいはしばしば耳鳴や難聴、耳閉感といった蝸牛(耳の中の構造として蝸牛と呼ばれる部位があります)症状の随伴も見られます。めまいの起こり方は中枢神経症状が無く、暗所でめまい感が増強する特徴があります。

また、悪心嘔吐や冷汗などの自律神経症状が強く出る迷路性めまいがここに属します。

中枢性めまいとは小脳や脳幹・大脳の血管障害、腫瘍などの障害によって生じます。一般的にめまいは非回転性・非発作性で持続しますが、小脳や脳幹の急性障害では回転性のめまいが生じます。めまい以外にも他の神経症状が出ますが、聴覚障害は起こりません。

末梢性のめまいを引き起こす原因としてよくあげられるものにメニエール病、突発性難聴、内耳炎、前庭神経炎などがあります。メニエールや突発性難聴はよく聞く病名ですね。

中枢性のめまいとは脳血管障害や脳腫瘍、脳変性疾患などがあたります。

その他に血圧調節機能の障害による起立性めまいや、心因性のめまいなどもあります。

では自分で判断できることはあるのかについて見ていきましょう。

めまいの判断

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以下に表にまとめていきますのでそちらを参考にしてみてください。

発現状況

疾患

自発性・発作性

反復性

メニエール病など

単発性

突発性難聴、前庭神経炎、時に脳血管障害など

誘発性

発作性頭位眩暈症など

持続性・進行性

中枢神経障害など


症状の分類症状疾患
耳症状耳鳴・耳閉感・難聴などメニエール病、突発性難聴など
神経症状手足・顔のしびれ感、複視、言語障害、
嚥下障害、意識障害など
脳血管障害、脳腫瘍、聴神経腫瘍など
病名特徴
メニエール病
  1. 自発性・発作性で反復性のめまい発作

  2. めまい発作に耳鳴、耳閉感・難聴など耳症状を伴う

  3. 神経症状を認めない
突発性難聴
  1. 自発性・発作性で単発性

  2. 高度の難聴

  3. かなり長時間のめまい
発作性頭位眩暈症
  1. 誘発性のめまい発作

  2. 短時間のめまい

  3. 耳鳴・難聴・神経症状などを伴わない
中枢性めまい
  1. 持続性・進行性、時に発作性

  2. めまいというより歩行障害が多い
  3. 神経症状を伴うことが多い

東洋医学的めまい

東洋医学ではめまいに関する単語がいくつかありますが、ここでは代表的な「頭暈ずうん」「眩暈げんうん」を紹介しておきます。

頭暈は目がかすんで頭がふらつくことや、ものが揺れて動いて見えたり、周囲が回転して立っていることができずに悪心嘔吐してしまうなどの症状を指します。

代表的な病証として「気血両虚」「痰湿中阻」「腎精不足」「肝火上炎」「肝陽上亢」「肝陽化風」が挙げられます。

「気血両虚」のめまい

もともと脾胃虚弱の体質や過労によって元気が消耗されて気が不足することによって起こります。

めまいの性質としてはふらつきや立ちくらみで、激しい時は転倒する時もあります。

また、体動によりめまいが悪化し、耳鳴、動悸、息切れ、全身倦怠、易疲労感、食欲不振、軟便または下痢、不眠、気疲れ、物忘れ、無気力、口数が少ない、声に力が無い、顔や皮膚・口唇・爪などの血色が乏しい、皮膚につやがない、汗をかきやすいなどを伴います。

女性はさらに月経過多・少、月経不順、不正子宮出血、帯下などを伴うこともあります。

症状が重い時は顔面・下腿に浮腫をきたすこともあります。

このセルフケア法としては、中脘気海太渓太白を心地よい温度で温め、足三里・豊隆を少し強めにこするようにマッサージしてください。

「痰湿中阻」のめまい

暴飲暴食などによって脾胃の機能が損なわれ、水湿が停滞して痰が生じ、この痰湿が中焦を鬱ぎ陽気が頭に回らないために起こります。

めまいは回転性あるいは宙に浮いた感じの場合もあり、動くと悪化します。その多くは頭痛、悪心を伴い、激しい時には月に何回か嘔吐を伴う発作性のめまいや頭痛を起こします。他に食欲不振や全身倦怠、易疲労感、頭重感、耳鳴、心窩部の冷え感、動悸、眠気(特に食後の眠気)、足の冷えなどを伴います。天候によって悪化するのが特徴的でもあります。

このセルフケア法は、中脘・関元三陰交・太白を心地よい温度で温めてください。豊隆は少し強いくらいにマッサージしてください。頭痛や耳鳴が強い場合は風池・天柱を加えると良いでしょう。

「腎精不足」のめまい

老化による腎気の衰弱や房事過多(性交渉や自慰行為など)により腎陰が消耗されるために起こります。

めまいはフラフラする感じで、他に耳鳴、腰や膝・下肢などの鈍痛や無力感、歩行障害、性機能減退、動作緩慢、健忘ないし痴呆、脱毛、歯の動揺、無気力、精神的不活発、視力低下などを伴います。

腎陰虚の傾向が強い時は陰虚による内熱のため、これらの症状に加えて、喉の渇き、手足の火照り、のぼせ、顔面紅潮、イライラ、不眠、寝汗、午後の微熱、皮膚の乾燥、るい痩、性欲の一過性亢進などがあります。

腎陽虚の傾向が強い時は、四肢の冷え、寒冷を嫌う、頻尿、排尿障害、夜間尿、精神集中力の低下、インポテンツ、膝・下肢の冷えまたは痛み、顔色が悪い、皮膚のつやがない、早朝の下痢などの症状が加わります。

このセルフケア法は、中脘・関元・太渓・太白を温めてください。

腎陰虚の傾向が強い場合はこれに三陰交・陰陵泉を加えてください。方法は同じです。

腎陽虚の傾向が強い場合は最初の4つのツボを、何もしなくてもじんわりと温かさが続くくらいしっかりと温めてください。

「肝火上炎」のめまい

怒り、悩みがうっ積して肝気が抑うつして起こります。

めまいの他に、顔面紅潮、のぼせ、不眠、頭痛、肩こり、イライラ、易怒性、憂うつ感、情緒不安定、胸や脇が張って苦しい感じ、便秘または下痢を繰り返す、頻尿などを伴います。女性の場合は月経不順、月経痛、月経時乳房腫脹感などを伴います。

こちらは鍼灸治療の方がよく効きます。可能なら鍼灸治療を受けた方が早いでしょう。

セルフケア法としては太衝、三陰交、陽陵泉に爪楊枝の先でチクッとくるくらいの刺激をしましょう。不眠、頭痛、肩こりがある場合は風池、天柱、完骨に爪楊枝の先でタッピングをすると良いかと思います。

「肝陽上亢」のめまい

肝火上炎によって肝陰が消耗され、肝陽が昂ぶることにより起こります。めまいはフラフラする感じで、めまいが激しい時は悪心嘔吐が生じることもあります。他にイライラ、易怒性、頭痛(主に後頭部痛)、頭重感、肩こり、耳鳴、眼精疲労、不眠、顔面紅潮、口が苦いなどを伴います。

「肝陽化風」のめまい

肝陽上亢によって内風が生じて起こります。肝陽上亢の症状に加えて激しい頭痛、めまい、手足や舌のふるえ、舌が回らない、まっすぐに歩けない、直立できない、頭や身体がゆれるなどの症状があり、激しい時は半身麻痺や意識障害などを伴います。

肝陽上亢と肝陽化風はセルフケア法はありません。すぐに病院へ受診しましょう。肝陽上亢までなら鍼灸治療でも大丈夫です。

まとめ

めまいも奥が深いですよね。めまいが起きている中でこのような長文を読まれるのは非常に辛いものがあるでしょう。

めまいを持っている方はここを読み返さなくても済むくらいに覚えて予防的に実践されると良いかと思います。

今回は大分長くなってしまいましたが、めまいについてどのような対処をすれば良いのか分かっていただけたでしょうか?

次回もよろしくお願いいたします。

☆参考文献☆

鍼灸療法技術ガイドⅡ


過去の記事はこちら↓

眠れない!寝付けない!すぐ目が覚める!睡眠障害に対する効果的な対策法! 

東洋医学の「気」ってどんなもの?詳しく解説します! 

2024/07/22

東洋医学の「気」ってどんなもの?詳しく解説します!

 最近テレビなどでも注目されてきている鍼灸などの東洋医学ですが、それに関連するものは私たちの日常生活の中でも深く関わっているのをご存じでしょうか?

その中でもよく出てくる「気」について今回は解説していきたいと思います。

みなさんは「気」が付く言葉をいくつご存じでしょうか?

ぱっと出てくるものでも、「天気」「元気」「空気」のようなものから、「気をつかう」や「気にする」などの慣用句でも出てきますよね。

気ってどんなもの?

治療の中でも、「気功」をつかう人もいます。では、そもそも「気」とは何なのかと言うと、整体関連の方の考えと一致するか分かりませんが、私たち鍼灸師が使う「気」とは「万物を構成するもの」とされています。

東洋医学の中では気とはまず、「先天の気」「後天の気」から始まり、「原気(元気)」「宗気」「衛気」「営気」の4つに分類されます。この4つの中で「原気」は「先天の気」に分類され、後の3つが「後天の気」に分類されます。

☆雑学コーナー~その他の気~☆

①正気:病から人体を守る機能(抵抗力・回復力)を指します。

②邪気:各種病気の発病因子のことを指します。

③精気:精そのものを指します。

④清気:身体に必要な物質のことを指します。

⑤濁気:身体に不必要な物質のことを指します。

原気というのは増えることはありません。生まれながらにしてもっているものでこの原気が無くなると人は生きていけなくなります。

この原気の消耗を少なくするために後天の気と呼ばれる3つでカバーをしているのです。

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まずわかりやすいもので衛気というのがあります。これは身体の表面を流れるもので邪気から身を守ってくれるものになります。その他に、身体を温めたり、乾かないようにしたり、発汗させたりして体温を一定に保つ働きをしています。

次に営気です。これは身体の栄養分のような感じですね。血液と一緒に流れています。

最後に宗気ですが、これは呼吸を促したり血液の運行を促進したりします。

これら3つの気は後天と言われるように増やすことができます。呼吸や食物から栄養を取りそれらを後天の気として精製します。

気の大きな働きとして、5つのものがあります。

作用働き
推動作用人の成長発育及び臓腑の生理活動を促進する。
その他に血・津液・精などをおし動かす働きをもつ
温煦作用人体の組織・器官を温める働きをもつ
固摂作用生理物質を正常な場所に留め、やたらに流出するのを防ぐ働きをもつ
防御作用外邪が人体に侵入するのを防ぐ働きをもつ
気化作用各種の変化を引き起こす働きをもつ。例)飲食物から気の化生、
気から血・津液・精などへの転化、汗や尿など排泄物の生成など

となります。(その他の作用として、栄養・情報伝達もあります。)

つまり、気が足りなくなると、成長発育が遅れ、身体は冷えて免疫力が低下し、出血しやすくなり、汗や尿が出なくなり身体の中に老廃物が溜まりまくりという最悪な状況に陥ります。

こうならないようにするためにはバランスの良い食事と質の良い睡眠を取ること、適度に運動をして身体を活性化させることが大事なこととなります。

気を高めるツボはあるの?

気を活性化させるツボはあります。代表的な所でいえば関元、気海、膻中、太衝、百会ですね。

関元は過去の記事でも紹介しているのでそちらを参照してください。

気海はおへそから親指1.5本分下のところにあります。

膻中は男性ではおへその直線上で両乳首の間の真ん中にあります。女性は胸の関係で少しずれますが、おおよそそのあたりだと思っていただければ大丈夫です。

太衝は過去の記事で紹介しています。足の甲にありますが、詳しくはそちらを参照してください。

百会は頭のてっぺんで両耳の先端同士を結んだ線上の交点にあります。

太衝以外のツボは基本的には温めるようにしてください。太衝のツボは流すようなイメージでマッサージしてください。

まとめ

「気」についてどんなものか、わかっていただけたでしょうか?目に見えない物でありながら、私たちの身の回りには「気」という言葉があふれています。

東洋医学では気が無くなることを「気虚」、気が停滞することを「気滞」などといいます。「気虚」が問題なのは何となくおわかりかと思います。元気の素が無くなれば元気になれないのですから。ただし、「気虚」が続いたらどうなると思いますか?

気虚が続いたら臓腑の機能不全を引き起こし、免疫力が下がって病気になりやすくなり、身体は弛んで大小便が我慢できなくなります。そうなる前にきちんとリフレッシュして英気を養っておきましょう。

なお、気滞が続くと足がつるようになったり、無性にイライラしてきたり、便秘になったりします。これを防ぐには適度な運動が一番ですが、そんな時間が無い!という方は太衝をマッサージしてあげてください。「行気」といって滞った気の流れをスムーズにしてくれる作用があります。

これから熱くなって「気が滅入り」ますが、上述のツボをつかって「元気」に過ごしていきましょう!


過去の記事はこちら↓

むくみってなんで起こるの?むくんだ時にできる簡単セルフケア法! 

頭痛に悩むあなたにはここがおすすめ!頭痛のセルフケアってどうやるの? 

2024/06/10

あなたの体質はどれ?体質からわかる健康・美容対策とは!?その③

 各タイプについて自分がどのタイプなのか把握できましたか?

では、今からそれぞれのタイプ別のセルフケア法について解説していきたいと思います。

・肝タイプ
・心タイプ
・脾タイプ
・肺タイプ
・腎タイプ

・肝タイプ

肝タイプの方はストレスが多くかかっていたり、イライラしやすいのが特徴でした。

一番良い解消法は体を動かすことになります。趣味がある方は趣味に没頭してみるのも良いですね。最近ではヒーリングミュージックなんてものもあるので、そういうのを聞いてみるのも良いですし、公園などの緑があるところでぼーっとするのも良いかもしれません。

私は拳法をやっていたことがあるので、その動きで体を動かしたりします。

ツボ押しとしては、大敦、行間、太衝のツボがおすすめです。

大敦は足の親指で、爪の下の方の角(内側)にあります。肝の経穴の並びの一番初めにくるツボになります。

行間は足の親指と人差し指の間の水かきの部分になります。大敦の次にくるツボになります。

太衝は過去の記事でも紹介しました。足の甲にあり、足の親指と人差し指の間の骨が交わるところにあります。足背動脈という動脈の上にあるので、かすかにどくどくと拍動しているのが感じ取れます。

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・心タイプ

こちらはメンタルがしんどい方などが当てはまっているかと思います。自律神経が乱れている方も該当するかもしれません。

おすすめはぬるめのお風呂に長めにつかるのが良いですね。あとは深呼吸するのも良いです。

ツボ押しとしては内関、外関、合谷、太衝あたりがおすすめです。

内関は過去の記事でも紹介していますね。手首にあるツボです。このツボは他にも乗り物酔いや二日酔いなどの吐き気にも効果があります。緊張も和らげてくれるのであがり症の方にもおすすめです。(※強く押しすぎず、優しくなでるようにさすってあげてください。)

外関は内関の反対側にあるツボになります。よく内関のツボとセットで使うことが多く、私の場合は同時に刺激します。

合谷も過去の記事で紹介したかと思います。万能のツボとしても有名なツボで合谷は知ってる!という方も少なくはないのでしょうか。よく使われる症状としては胃腸症状のツボとして使うことが多いツボになります。他にも肩こりや眠気覚ましのツボとしても使われますね。

太衝は肝タイプでも紹介しました。肝と心はつながりが深く、言葉としてもよく「肝心な」などとして耳にすることも多いのではないでしょうか。血の巡りをよくしたりするツボでもあるので心タイプの方にもよく効きます。

・脾タイプ

東洋医学の中で最も重要といっても過言ではない「脾」のタイプです。過食や拒食など食に関する悩みを持っていたり、むくみなど水の巡りに関わるタイプ(後述の腎タイプも水に関わりますが)であったりします。

一番効果的な対処法としては、一日30分程度の散歩が一番効果的です。また、歩くときはスニーカーなどの底が平らなものを履いて、腕をしっかりと振りながら歩くことが大切です。

このタイプのツボ押しでおすすめなのは、太白、三陰交、大包です。

太白はこの脾タイプで一番重要なツボで、足の内側をつま先の方までなでていったときに指が止まるところにあります。足を水平に半分にしたときのライン上に取ります。

三陰交は内くるぶしのおよそ指4本分上にあります。ここは別名婦人科のツボとも呼ばれていて、婦人科疾患(月経関連や冷え性、むくみなど)に悩んでる方にもおすすめのツボになります。

大包は脇の下にあるツボでここは押さえるというよりも、お風呂などでタオルで軽くこするのがおすすめです。

・肺タイプ

肺タイプの方は呼吸器が弱かったり、乾燥肌やアトピーに悩んでる方に多いタイプになります。ちなみに、呼吸が浅い人は肺と腎の両方に該当します。

このタイプのひとはじんわりと汗をかくようなことをするのがおすすめです。方法は何でも良いです。サウナでも、運動でも、お風呂でも。ただし、辛いものを食べて汗をかくのも良いのですが、胃腸に負担がかかってしまうため、あまりおすすめはできません。

おすすめのツボは中府、尺沢、少商になります。

中府は肺の経絡(線路みたいなもの)の始まりのツボでとても大事なツボになります。説明するのが難しい場所になるのですが、大体胸の肩の付け根近くにあります。

尺沢は過去の記事でも紹介しているのでここも該当記事を参照してください。

少商は親指の爪の外側の角にあります。

・腎タイプ

ここは肌のくすみや加齢に伴うものが多いタイプになります。足腰が弱かったり、耳鳴り難聴がある人もこのタイプが多いです。

このタイプのひとはまず体に負担をかけないようにするのを意識すると良いですね。ゆっくり休むのも良いですし、冷たいものや熱いものの取り過ぎを避けるのも大事です。

ここのおすすめのツボは、湧泉、太渓、気穴になります。

湧泉は足裏の一番凹んでいるところになります。ここはあまり強く押さえず、気持ち弱めで押すのが良いです。

太渓は内くるぶしの後ろ側(アキレス腱側)にあります。ここは腎タイプで一番重要なツボになります。ここは押さえるよりも温める方が効果的です。

気穴は関元の外側で大体指0.5本分のところにあります。ここも押さえるよりも温める方が効果的です。

・まとめ

今回は3本にわたって記事を書いてみました。全部読むのは骨が折れると思いますがよろしければ是非、一度目を通していただけると嬉しいです。

また、この記事で自分がどんな体質なのか、どこを注意すれば良いのかということの参考になれれば、尚のこと嬉しいです。

もしわからないところなどあれば気軽にコメントをください。可能な限り返信させていただきます。

過去記事はこちら↓

あなたの体質はどれ?体質からわかる健康・美容対策とは!?その② 

あなたの体質はどれ?体質からわかる健康・美容対策とは!?その① 

2024/06/03

あなたの体質はどれ?体質からわかる健康・美容対策とは!?その②

 血液の働きに関してご理解いただけたでしょうか?(その①)

ここから東洋医学的視点からあなたの体質を判別していきたいと思います。

東洋医学で体質を判断する上で、よく用いられるものに「五行色体表」というものがあります。

そのほかに陰陽論や気血津液弁証、八綱弁証、臓腑弁証など多岐にわたりますが、今回は五行色体表をベースにして他の要素も含めながら見ていきたいと思います。

色体表自体の量は膨大になるのでとくによく使うものをピックアップしていきます。

五行
五臓
五腑小腸大腸膀胱
五味塩辛い
五情
五官
五華毛髪
五液
五労

次に大事な八綱弁証の虚実について見ていきます。

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寒がり自汗小便清長軟便盗汗
暑がり無汗小便不利便秘

他にも様々なものがありますが、今回見ていく分にはこれくらいで十分でしょう。
まず、虚実から見ていきますね。
虚というのは、体の中のエネルギーが足りていない状態であるということを指します。
主にいんきょ(体を冷ますためのものが足りない)、ようきょ(体を温めるものが足りない)、けっきょ(血が足りない)、気虚(元気がない)などが挙げられます。

かんというのは、じっとしていても汗をかく状態のことを指します。(気虚)

とうかんというのは寝汗のことを指します。(陰虚)

小便清長は1回のおしっこの時間が長く、透明であることを指していて、小便不利は逆におしっこが出にくい状態を指します。

実というのはエネルギーが余っている状態か一部に集中してしまっている状態を指します。

この表を参考にして、今自分の体がエネルギーが無い状態なのか、密集している状態なのかが判別できたと思います。

次に五行色体表を見ていきますね。

この表は縦に対応していっています。例えば、五情の怒(イライラ)が強くなりすぎると五臓の「肝」に影響します楽しい気分や嬉しい気分が行き過ぎるとあとで心に影響します。ある物事に執着して考えてばかりいると脾に影響します。ネガティブに考えすぎると肺に影響します。過度に怖がりすぎると腎に影響します。逆に、いつもより驚きやすかったり怖いなと感じることが多い場合は腎が弱っている可能性があるとも考えられます。

五味はどの味をよく好んで食べたり飲んだりするかという点で判別します。

例えば、すっぱいものを好んで食べたくなるような人は肝の実証になります。逆にすっぱいものを避けたいと思う場合は肝の虚証になります。

五官は目に症状が出る(充血やめまい(立ちくらみや頭に血が上ってくるようなもの)、かすみ目など)ひとは肝タイプ舌(舌の違和感、しびれなど)に症状が出るひとは心タイプ口(口内炎や口周りのにきびなど)に症状が出るひとは脾タイプ鼻(嗅覚や蓄膿など)に症状が出るひとは肺タイプ耳(難聴や耳からくるめまいなど)に症状が出るひとは腎タイプになります。

五華は爪(爪が割れやすかったり、線が出るまたはへこんだりしているものなど)に症状が出るひとは肝タイプ面色(顔色)に症状が出るひとは心タイプ唇(唇が割れたり、切れたりするようなものなど)に症状が出るひとは脾タイプ毛(産毛や体毛がよく生えてくるようなものなど)に症状が出るひとは肺タイプ髪(抜け毛や薄毛など)に症状が出るひとは腎タイプになります。

五液は涙を流しやすいひとは肝汗をかきやすいひとは心よだれが出やすいひとは脾鼻水が出やすいひとは肺つばが出やすいひとは腎のタイプになります。

よだれとつばの違いがわかりにくいというひとは、サラッとしたものがよだれ(臭いもあまりしないことが多いです)、ちょっとねばっこさを感じるものをつば(ちょっと臭いを感じることが多いです)と思っていただけるとわかりやすいかと思います。

五労は行というのは働き過ぎや動きすぎのことを指します。こういうひとは肝タイプです。よく目を使うようなひとは心タイプ、座っていることが多いひとは脾タイプ、寝ていることが多いひとは肺タイプ、立っていることが多いひとは腎タイプになります。

肝のタイプが多く当てはまったひとはストレスが多くかかっていたり、イライラしやすかったりすることが多いです。お酒をよく飲むひとはここに当てはまることも多かったりします。

心のタイプが多く当てはまったひとは気持ちが乱高下しやすかったりします。

脾のタイプが多く当てはまったひとはむくみやすかったり、お腹の調子も崩しやすかったりします。お腹や顔などにお肉がつきやすいのもこのタイプが多いです。

肺のタイプが多く当てはまったひとは肌が乾燥しやすかったり、呼吸器系が弱かったりします。アトピーのひとはここに当てはまることが多いですね。

腎のタイプが多く当てはまったひとは聞き直すことが多くなっていたり、肌にくすみが出てきやすかったりします。しみなどの悩みもここに当てはまることが多いようです。

もちろん、どれかひとつにしか当てはまらないのではなく、複数当てはまる場合もあります。

その場合はより多く当てはまった方が1番だと思ってください。その上で、セルフケアをする場合は他の当てはまったものも加えてあげるとより良い効果が得られます。

各タイプのセルフケア法についてはその③へ→

◆参考◆

新版 東洋医学概論(医道の日本社)

全訳 中医基礎理論(たにぐち書店)

針灸学 [基礎編](東洋学術出版社)

難経入門(経絡治療学会)

2024/05/27

あなたの体質はどれ?体質からわかる健康・美容対策とは!?その①

あなたは自分の体質を把握していますか?

人の身体は日々の食生活や睡眠サイクル、生活環境などによって日々変わってきてきます。

人の身体を構成している細胞の寿命は数時間~数十年とまちまちですが、今回は身体の中でいろんな役割をもつ血液細胞に関して注目しつつ、自分の体質がどんな体質なのかをしっかりと把握していただきたいと思います。

今回は最初に血液とはいったい何なのか、について書いていきたいと思います。

手っ取り早く体質について知りたい方はその②へお願いします。


そもそも血液とはいったいどんな働きをしているのかご存じでしょうか?

血液の機能は大きく8つあります。


1.血液の中に溶けている気体(酸素や二酸化炭素など)の運搬。
2.胃や腸などで吸収された栄養素または脂肪組織や肝臓から出た栄養素を運搬。
3.末梢組織で出た代謝産物を腎臓などへ送る。
4.酵素やホルモンを目的の場所まで運ぶ。
5.体液のpHや電解質組成を調整し、乳酸などを吸収する
6.ケガしたところから体液が漏れ出るのを防ぐ。
7.毒や病原体からの防御をする。
8.熱を吸収し、再分配するなどして体温を一定に調節する。

これらの8つに分類されます。


また、血液は血清と血球成分に分かれます。
血清とは血液の液体成分のことを指します。この中でさらに、水、電解質、栄養素、有機老廃物、タンパク質(アルブミン、グロブリン、フィブリノゲン)に分類されていきます。
水はこの後解説する血球を運んだり、熱を運んだりします。
電解質は細胞を活動させるために必要なものになります。
栄養素はその名の通り、細胞のエネルギーを生み出したり成長・維持させるために使われます。
有機老廃物は分解または排出される場所に運ばれていきます。
タンパク質は脂質やホルモンを運んだり、血液を固まらせるためのものになります。

血球成分は大きく3つに分類されます。赤血球、白血球、血小板です。

続きを読む

赤血球はガスの運搬、白血球は防衛機能、血小板はカサブタをつくる機能になります。
赤血球の寿命は約120日もしくは1000km以上の距離を循環すると壊れてしまいます。


☆雑学コーナー☆

人の血液型はこの赤血球の膜に特殊な成分があるかどうかで決まります。

日本人の血液型の割合はA型が38.3%、B型が21.8%、O型が30.5%、AB型が9.4%となっていて、人種によってその割合は変わります。

南米の原住民はなんとO型が100%なんです。すごいですよね。


白血球はさらに顆粒白血球(好中球、好酸球、好塩基級球)と無顆粒白血球(単球、リンパ球)に分類されます。

好中球は白血球の中で最も多いものになり、その機能は身体の防御をしています。

好酸球は寄生虫に感染したり、アレルギー反応によって増加します。基本的には寄生虫をやっつける働きをします。

好塩基球はヒスタミン(かゆみの原因)を出すもので即時型アレルギー反応の原因とされています。

単球は好中球と役割が似ており、細菌を貪食したりします。それに加えて、T細胞に抗原(細菌などの原因物質)を提示したり(ここにこんなのがいるよ!なんとかして!)、サイトカインというもの(免疫細胞由来のタンパク質)を産生して生体防御や免疫防御をしています。

リンパ球にはT細胞、B細胞、NK細胞などがあります。

T細胞は身体の免疫を統制する超エリート細胞で、胸腺というところに存在しますが、そのほとんどが排除されています。排除される原因は、適切な免疫応答を100%行えないからです。100%適切に対処できるものだけが胸腺で生き残って、仕事をしているのです。

B細胞は様々な種類の抗体を産生して、適切な免疫処理をおこないます。たくさんの武器を持って、状況に合わせて使いこなす細胞、というようなイメージで良いかと思います。

NK細胞は最近よくテレビで取り上げられることが多くなっていますね。笑うと活性化して、ガンの予防になるとか言われているアレです。

また、白血球の寿命は約2~3日程度です。(成熟するまでに7~14日ほど必要とします。)

血小板は主に止血のために働きますが、その性質はとても弱いものになります。

応急処置的に止血をしてくれて、その後に血液中に含まれるフィブリノゲンというタンパク質が補強してくれます。

ただし、ビタミンKが足りなくなると止血がうまくできなくなったりします

血小板の寿命は約10~12日間で、古くなると貪食されます。

これらの細胞がわかりやすくなっているのが「はたらく細胞」シリーズになります。

漫画形式で身体の中でいつも赤血球や白血球、血小板などがどういう働きをしているのかを描いてくれています。

また、シリーズものに喫煙者や飲酒している人の身体ではどうなっているのか、赤血球や白血球が生まれるまでの過程を描いたものもあるので、もし興味があれば読んでみてください。


その②


以下は各項目の正常値(個数/1μl)になります。
赤血球:440万~600万
白血球:6000~9000
    好中球:1800~7300
    好酸球:0~700
    好塩基球:0~150
    単球:200~950
    リンパ球:1500~4000
血小板:15万~40万

◆参考◆
カラー人体解剖学
シンプル生理学
標準生理学

過去記事はこちら↓

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